経産省 「電力ビジネスの動向まとめ」発表 2016年の政策を示唆 | ニュース | 環境ビジネスオンライン
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経済産業省は12月28日、本年4月の電力小売りの全面自由化に向けて、電力需給の状況や電気料金の水準、エネルギー基本計画に基づく施策の実施状況等の電気事業を取り巻く状況についての検証結果をとりまとめ公表した。
これは、昨年6月から総合資源エネルギー調査会において行ってきた議論を踏まえ、電気事業を取り巻く状況の検証結果を政府として取りまとめたもの。概要は以下のとおり。
検証結果(まとめ)
- 4月の小売全面自由化に向けた準備は着実に進んでおり、当面、法律上、検証結果を踏まえて必要に応じて講じることとされている、競争条件の改善、適正な競争条件の確保、安定供給のための資金調達の確保等に関する措置を講じる必要はない。
- 他方、現在急ピッチで作業が進められている情報システムの開発・整備は、時間的制約がある中で一定の遅延リスクを内包しており、きめ細かく継続的に状況をフォローすると共に、仮に作業の遅延が生じた場合の対応をあらかじめ検討しておく必要がある。また、必ずしも十分に周知されていない小売全面自由化の意義や手続等について、官民一体となって、一般家庭等に対する広報活動を強化していく必要がある。
- なお、電力システム改革は4月の小売全面自由化により次のステージに移る。新規参入の活発化等により競争状況に大きな変化が生じてくる可能性があり、引き続き電気事業を取り巻く状況を継続的にフォローしつつ、現在進めている再生可能エネルギー固定価格買取制度の見直しや原子力事業環境整備等、エネルギー基本計画に基づく各施策を着実に実施すると共に、状況の変化に応じ、必要な措置を講じていくべきである。
総合資源エネルギー調査会における議論
1.総合資源エネルギー調査会においては、第3弾の電気事業法改正法に規定する検証事項に沿って、以下の点について検証を行った。
- 第1弾電気事業法改正法の施行の状況
- エネルギー基本計画に基づく施策の実施状況
- 電力需給の状況及び電気料金の水準
- その他の電気事業を取り巻く状況
2.小売全面自由化に向けた関係施策の進捗状況を確認しつつ、エネルギー政策全般に及ぶ幅広い議論が行われる中で、小売全面自由化を間近に控えた電気事業を取り巻く状況については、概ね以下の認識が示された。
- 昨年8月に小売電気事業者の事前登録が始まり、12月初めに小売営業に関するガイドラインの案が示されるなど、小売全面自由化に向けた準備は順調に進んでいる。引き続き、本年4月の小売全面自由化に向けて、着実に取り組んでいくべきである。
- ただし、小売全面自由化の主体となる一般家庭等への周知が不十分。政府や関係事業者などが一体となって、その意義や手続等について広報活動を強化していく必要がある。
- また、小売全面自由化を支えるインフラとして不可欠な情報システムについては、時間が限られる中でギリギリの開発・整備作業が続けられており、今後も継続的に状況をフォローの上、作業の遅延が生じた場合の対応を検討していくべきである。
- 東日本大震災以降、足下の電力需給は、原子力発電所の稼働停止とともに、火力の焚き増しや発電所の定期検査の繰り延べなどにより電力不足を回避しているなど、引き続き予断を許さない状況にある。原発の再稼働に伴い需給は一部緩和してきているが、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、今後、火力発電には調整用電源としての役割がますます求められ、稼働率の低下が見込まれる電源の維持や設備更新、新規開発のインセンティブ確保策を検討していくべきである。
- 原子力発電所の稼働停止による化石燃料の輸入増や、燃料価格の上昇等により、電気料金は震災前に比べて大幅に上昇している。昨年来、原油価格の大幅な下落により電気料金も低下しているが、震災前の水準にはほど遠い状況にあり、原子力発電所の再稼働や競争の促進による料金水準の低下が期待される。
- 一昨年4月に策定したエネルギー基本計画については、昨年7月に策定したエネルギーミックスの実現に向けて、省エネルギーのベンチマーク制度の対象拡充、再生可能エネルギー固定価格買取制度の見直し、火力発電の高効率化に向けた制度整備、原子力事業環境整備等、エネルギー源ごとの状況や特性に応じた政策対応が着実に進められているところであり、引き続きこうした取組みを行っていくべきである。
とりまとめの経緯
昨年6月に成立した第3弾の電気事業法改正法において、本年4月の小売全面自由化の実施前に、電気事業を取り巻く状況について検証を行うこととされた。
これを踏まえ、総合資源エネルギー調査会において、昨年6月に電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループで議論を開始し、10月に電力基本政策小委員会が設立されてからは同小委員会に検討の場を移し、合計5回にわたり議論を重ねてきた。
今般、これらの議論を踏まえ、電気事業を取り巻く状況の検証結果を政府として取りまとめた。