<東電>電力相場操縦で業務改善勧告 価格不当つり上げ
毎日新聞 11/17(木) より
経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会は17日、東京電力ホールディングス傘下の電力小売子会社「東京電力エナジーパートナー」が、卸電力取引所で不適切に高い価格で売り注文を出し、価格を不当につり上げたとして、業務改善を勧告した。電力自由化で新規参入した事業者の多くは取引所に調達を依存しており、価格が上がると、調達が難しくなる。東電エナジーは「相場操縦の意図は一切なかったが、勧告には適切に対応する」としている。
東電グループでは6月にも、送電網を管理する東電パワーグリッドが、新電力への電力使用量の通知遅れで業務改善勧告を受けたばかり。
東電エナジーは、東電グループから電気を調達し、家庭に供給したり、卸電力取引所に売ったりしている。
監視委によると、東電エナジーは今年4~8月の間、翌日に受け渡しする電力の取引を行う「卸電力取引所・一日前市場」で、不当に高い価格で売り注文を出していた。一日前市場では、翌日の24時間を30分単位で48コマに区切り、需給により価格を決め、電力を売買している。東電エナジーの売り注文の影響で、平日昼間の時間帯の約6割で、価格がつり上げられていた。時間帯によっては、価格が約3割上昇したコマもあった。
東電エナジーは、売り注文を出す際、家庭などへ売る小売料金の原価と同水準の下限価格を設定していた。東電エナジーは卸電力取引所で価格への影響力が圧倒的に大きく、監視委は、同社のこうした売り注文が価格の意図的なつり上げにあたると判断。競争相手である新電力に安い電気を供給したくない意図が働いた可能性を示唆した。
そのうえで、「多くの電源を持つ事業者がこのような行為を行うと、他の事業者は市場から必要な電力を適正価格で調達できなくなる恐れがあり、小売市場に新規参入し、事業を維持、拡大することを阻害する」と改善勧告の理由を示し、再発防止に向けた社内体制の整備などについて、1カ月以内に報告するよう求めた。
改善勧告に対し東電エナジーは17日、「独自に設定した下限価格は自主的に撤廃している。引き続き、卸電力取引市場の活性化に資するべく誠実に取り組む」とのコメントを発表した。